第2章 昔ばなし
台湾での任務を終わらせヴァチカン本部へと帰還したエレナは、事務局に呼ばれたらしく事務室へと向かっていた。
あまり縁のない場所ではあるが、任務からの帰還早々に呼ばれるぐらいなので、それなりの内容なのでは?と思考を巡らせながらついた先で言われた言葉は………
事務員「1週間後に日本支部で祓魔師の認定試験及び称号判定試験が実施される予定ですので、桧山上一級祓魔師は称号判定試験に試験監督として参加せよ、との通達が来ています。」
「………日本支部?…………あの、通達の出所はどなたでしょうか?」
事務員「ああ、こちらにはフェレス卿の名前と連名で藤本上一級祓魔師の名前が記載されていますが………」
二人のよく知る名前が出てきたことに肩を落とすエレナ。
(………やっぱり。あの二人かぁ………何かと理由つけては日本支部に呼びつけるんだから。)
事務室を出て、ため息混じりに歩いていると後方から歩いてくる人影を感じ、振り向いた先にはよく見知った顔。
?1「エレナっ!帰ってきてたんだね!」
?2「……やぁエレナ!今日も美しいな。その顔…よほど俺に会えて嬉しいのだな!」
そう言いながらエレナの手を取り、甲にキスを落とすキラキラとした長髪の男。
?1「わー相変わらず君のキラキラとした目には現実離れしたものしか映らないんだね!ぼかぁビックリだよ。」
それに笑顔で際どい突っ込みをいれる帽子の男。
「ライトニングっアーサーっただいま!会うのは久しぶりね?」
久々に会えた同僚にエレナは笑顔で歩み寄った。
すると、ライトニングがそわそわと落ち着かない様子を見せ、エレナは首をかしげその様子を伺う。
それに気づいたライトニングはそっと帽子を取ると、遠慮がちに彼女へと視線を送った。
ライトニング(以下:ライト)「あの、さ!エレナっぼく………約束守ったんだよ?」
ライトニングの言葉に目を見開くエレナ。
そのライトニングの言った"約束"は、彼にとってはかなりの大仕事であり、その約束を守ったということは、
つまり彼が____
"お風呂に入り、全身を洗った"
ということだ。