第2章 昔ばなし
耳元を掠める獅郎の唇と熱い吐息。
獅朗「お前に足りないもの…………知りたいか?」
脳髄まで響く獅郎の低い声は、エレナの体の奥に熱を疼かせる。
「…足りないもの…?」
やっとの思いで言葉を繰り返すと、ニィと笑う獅郎の熱の籠もった瞳と視線がぶつかる。
腰に当たられていた手が、ゆっくりと臀部へと下っていく。
獅朗「それはな、エレナ……」
獅郎のもう片方手がエレナの後頭部を掴み、そのまま強く引き寄せられると、深く重なった二人の唇。
すぐに入り込んできた獅郎の熱い舌が、ねっとりとエレナの舌に絡まり侵食していく。
「んっふっ…んんっ///」
生き物のように蠢いていた熱が引き、目を開けると、ぺろりと唇を舐め上げられた。
獅朗「____女としての”色気”だ。そいつをこれから、俺が…たっぷり時間をかけて、教え込んでやる。」
「なっ…えっあっ獅、郎…!」
再び重なる唇はさらに深く深く絡まって、息つぎすらさせてもらえず、意識が朦朧としていく。
同時に与えられる下半身への強い快感に襲われ、エレナはただただ快感に耐えることしか出来なくなってしまった。
獅朗「愛してるぜ……エレナ_____」
遠くで聞こえた言葉。
そんな余裕のない彼女にはうまく届かない。
それでもいい、と彼女に触れる行為にその熱い想いを乗せて獅郎は何度も何度もエレナと繋がった。
____あの日から続いている獅郎とエレナの秘密の関係。
「ごめんね、獅郎…」
その寝顔に呟き、髪を撫でる。
(あなたと同じように私も想えたら良かったのに…)
獅郎の想いは未だ一方通行のまま。
エレナはそっと額にキスを落とし、その男の横に身体を沈めた。