第2章 昔ばなし
「そう…?同じようなもんだと思うけど…マニバドラ(龍王)も手のひらサイズに変化すると結構可愛いんだよ?」
獅郎「…はぁ…可愛いとか可愛くないとかそうゆう話じゃねぇんだよ。悪魔としての”格”の問題。」
呆れる獅郎に、ふふ、と楽しそうに笑いかけてくる彼女の姿はとても美しく、獅郎はドキリとしてしまった。
そして、ふいに生まれた悪戯心___
この悪戯心の裏に込められていた彼の本心は、実はとても純粋なもの。
____いっそ流れのままに伝えてしまおうか
そんな気持ちで彼女へ伝える次の言葉。
獅郎「ま、あとお前に足りない部分があるとしたら…アレだな…」
獅郎の言葉に首を傾げながら純粋な目でこちらを見つめるエレナ。
「アレ…って?」
獅郎「そうだ。…ま、それが知りたきゃ今晩俺の部屋に来るといい。」
そう言い部屋から出ようとする獅郎にエレナが声をかける。
「今から任務でヴァチカンに行くんだけど…さっきの、遅くなってもいい?」
エレナの言葉に獅郎はニィっと笑うと、その手をひらひらとさせながら、ああ、と返事をし、扉を開け出て行った。
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そして、エレナがヴァチカンでの任務を終わらせ、無限の鍵を使い、獅郎の部屋へと辿り着いた時、その部屋の主は既にベッドの上でガーガーといびきをかきながら寝ていた。
その姿にエレナは、はぁ、とため息を漏らすと、獅郎が眠るベッドへと近づき、その身体を揺すった。
「…獅郎っ起き――――っきゃっ!?」
身体を揺する手をぐいと掴まれ引き寄せられると、バランスを崩したエレナの身体は、獅郎の身体に覆いかぶさるように倒れでしまう。
すぐにエレナは体制を立て直そうとするが、その行動は獅郎の腕により阻止され、立て直すどころかぴったりと身体を密着させる形になってしまった。
「しっ獅郎っ?!ちょっと…っ」
獅郎「…近くで騒ぐんじゃねえよ。ったく…」
面倒くさそうな言葉を吐く獅郎の手は、スス…、とエレナのくびれた腰を撫で上げる。
その厭らしさを含ませた手の動きに、エレナの身体はビクリと跳ねた。