• テキストサイズ

その美しい花を僕の手に【青の祓魔師】R18

第2章 昔ばなし


その日は太陽の日差しもきつく、外出するのも億劫なほど外には熱気が立ち込めていた。




ここは日本の正十字学園祓魔塾のある一室。



この部屋の中には、男と女の二人だけが存在していた。




獅郎「____で、結果は?」



男が口を開くと、女はふわりと柔らかな微笑みを彼に向けた。



「本日付で、ヴァチカン本部所属、上一級祓魔師__四大騎士に任命されました。今後とも、聖騎士様のお力になれるよう尽力尽くして使命を全うしたいと思います。____約束守ったよ!獅郎っ」



女は獅郎と呼ばれた男に勢いよく抱きついた。抱きつかれた獅郎も力強く彼女を抱き締め返す。



獅郎「そうか!さすがだな、エレナっ。……一先ず、四大騎士の称号おめでとう。」




エレナが9才の頃、本部所属の祓魔師であった父の古くからの知人であった藤本獅郎に出会い、師弟関係を結んだ。
ずば抜けた才能を持っていたエレナは5年の修行の後、祓魔師の資格を取り、初回の称号判定試験にて既に上二級の称号を得ていた。
その後、日本支部に拠点を置き、獅郎のもと経験を重ねていった彼女が上一級まで上り詰めるのは時間の問題であった。


そんなエレナが上一級になって1年が経った今日、称号認定試験にてさらにもう1つ上のランクである"四大騎士"に合格したのだ。



「何か周りにやたらと期待されてる中だったから、変に緊張しちゃったよー。」



獅郎は照れたように笑うエレナの頭をポンポンと撫でた。



獅郎「17で、四大騎士かぁ………今さらだがお前すげぇな…!しかも、この前ドイツで大騒動起こした祓魔対象の龍王を使い魔にしたんだって?!……くくっ…次元違うぜ、全く……」



まるで自分のことを話すかのように楽しげに話す獅郎に、エレナは嬉しそうに微笑みかけた。



「だってぇ……私も師匠のクロみたいな強い使い魔欲しかったんだもん!」



"クロ"とは、青十字学園の入り口にある門にいる猫又で、以前は神として祀られていたが、村が荒廃し放置され、土地開発によって祠を取り壊されるという事態に激昂したクロを獅郎が話し合いによって収め、使い魔として正十字学園の門番をさせている。




獅郎「いや………龍王と猫又じゃ格がちげぇだろ……格が。」

/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp