第2章 secret.1 契約
ベッドに沈む体を起こしながら蓮華は戸惑う瞳で男を見た。
「…っ…」
本能が察した危険信号に思わず蓮華の体が震える。
目の前にいる男の顔はさっきまでの苦しんでいた表情とまるで違う。
息は相変わらず荒いが、暗闇の中で赤く光る目が蓮華を捕らえて離さない。
やだ、怖い…。
ギシッとベッドが軋み、男が乗ってくる。
「はっ…はっ…」
静かな部屋に響く男の息遣い。
近づいてくる男と距離を縮めないようにと後ろに下がっる蓮華の体。
しかし、それはすぐに背後にある壁によって阻まれた。
これ以上は下がれない。
男は目を光らせながら怯える蓮華の体へと手を伸ばした。
「っ!!」
冷たい指先が肩に触れた瞬間に、蓮華の体は思いっきり掴まれベッドに叩きつけられる。
硬いベッドのマットに沈んだ蓮華の体はぼふっと衝撃を受け、数秒反応が遅れてしまった。
それを見逃さない男は素早く蓮華の体の上に跨がった。
逃げられない。
妖しく光る目が近づいてくる。
怖いのに…逃げたいのに…迫ってくる男の視線から逃れることが出来ない。
ヒュッと小さな呼吸音が喉から鳴り、蓮華は唇を噛み締めた。
「…っひ?!」
首筋に舌が這う感触にビクリと蓮華の体が跳ねる。
体をよじって逃げようとする蓮華の体を男の腕が押さえつけ、焦らすようにゆっくりと白い肌に熱い舌を這わせていく。
初めての感覚に怖くなった蓮華は強く瞳を閉じ、そのせいで感覚が敏感になる。
「やっ…」
押し返そうとした蓮華の手はいとも簡単に男の手に掴まれて、頭上に固定される。
「やだ、離してっ!」
必死に抵抗しても男は行為を止めない。
強い力で押さえ付けられて、為す術なしの蓮華の目から一筋の涙が零れ落ちる。
と、同時だった…
ブツッ!!!!!