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禁断ブラッド〜刻印の果実〜

第2章 secret.1 契約


さっきよりも重く開けにくい扉を指先に力を入れ、体を使い、苦労して開ける。

カーテンが閉められた窓から入る微かな月の光を頼りにして、蓮華は部屋に足を踏み入れた。

一歩一歩足を進める度、肌にまとわりついてくる嫌な雰囲気。

…気味が悪い。

蓮華は自分の腕を抱き寄せながら、光を求め閉まっているカーテンを開けた。

満月の月が部屋の中を照らし、ほっと蓮華が息を吐いたのと同時に後ろから凄い力で肩の辺りを掴まれた。

「っ?!」

そのまま強い力で後ろに引っ張られ、体が後ろに倒れていく。

衝撃に耐える暇も無く背中から床に叩きつけられ、げほっと蓮華はむせ返った。

「っ…閉め…ろ…!」

顔を歪める蓮華が目を開く前に、頭上から言葉が降ってくる。

薄く目を開いた蓮華の上には苦しそうに唸る人影。

その言葉を聞いて緊張感を感じ取った蓮華は、慌てて上半身だけを起こし、精一杯腕を伸ばしてカーテンを閉める。

「…っ…」

月の光が部屋に入り込まなくなったことを確認した人影は蓮華の上に倒れ込んだ。

直に体にかかる重みが、更に蓮華をパニックにさせる。

誰…?

苦しそうに肩で荒い息を繰り返す人影の姿を確認する為、蓮華は顔を近づけた。

……キレイ。

鼻筋の整った顔に薄い口唇。

その額にうっすらと浮かぶ汗。

一瞬蓮華は息を飲み、瞬きをすることも忘れ、目の前の顔を見つめていたが、すぐにはっと気付き口を開いた。

「大丈夫ですか?!」

がばっと起き上がって男の体に触れると酷く冷たい体温が指先から伝わる。

蓮華にもたれ掛かったままの男は鋭い視線を向けた。

「…っ!」

さっき感じた視線と同じそれに蓮華はぐっと顎を引き、少し距離を取る。

「…どうやって、…っ入…た?」

未だ苦しそうに荒い息を繰り返す男がゆっくりと顔を上げて口を開いた。


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