第3章 secret.2 正体
蓮華はおもむろに烙抖から離れた。
「もうすぐ授業始まっちゃうね」
烙抖に血を吸われていた最中に予鈴の音を聞いていた蓮華は、教室に足を運ぶ。
あんなに騒がしかった廊下も今は静まりかえっていた。
後ろから烙抖もついてくる。
“2日に一度、俺に血を捧げればいい。”
その言葉通り烙抖は昨日、蓮華の血を求めなかった。
普通の人間と同じ食事を三度とるだけ。
…大丈夫なのかな?
人間で例えると2日に一度食事をとると言う状況。
さすがにその状況下で蓮華はやっていけないだろう。
しかし烙抖は人間ではなく吸血鬼。
根本的に違うのだ。
血を吸われるたび、蓮華の心になんとも言えない感情が沸き上がる。
絆創膏の上からそっと傷痕を触る。
その感情が何なのかはまだ蓮華には分からなかった。
「ふあっ…」
後ろで烙抖が口に手を当ててあくびをする。
「眠いの?」
「ん…」
目を擦る烙抖を見ながら教室の扉に手をかけた。
結局烙抖はそのあとの授業の時間、ずっと机に伏せていた。