第3章 secret.2 正体
覆い被さるように烙抖が蓮華を抱きしめる。
首筋に顔を埋めると器用に口で絆創膏を剥ぎ取る烙抖。
「烙抖く…っつ!」
ここ学校なのに…!
鋭く走る痛みの後に甘い快感が襲ってくる。
「ん…っ……ふっ」
蓮華は口元を手で押さえ、声を我慢するのに必死だった。
ゴクンッ…
蓮華の血で喉を潤す烙抖のシャツを握る。
「…はぁ」
烙抖は首筋から口を離すと息を吐いた。
蓮華は烙抖の胸に崩れ落ちる。
烙抖はそれをしっかりと受け取めた。
「大丈夫か?」
「……」
蓮華からの返答はない。
烙抖の胸に顔を埋めて目を閉じている。
…飲みすぎたか。
久々に長い間太陽の光を浴びた烙抖の体は血が足りなくなっていた。
学校で行為に及ぶことは正体がバレるリスクを伴うが、血が足りないと他の人間に襲いかかってしまう恐れがある。
蓮華はまだぐったりとしていた。
首筋に残る傷痕に新しい絆創膏をはる。
「烙抖くん…大丈夫?」
「は?」
「さっき、苦しそうだったから…」
虚ろな目で烙抖を見つめる蓮華。
…自分より俺の心配かよ。
蓮華の視線から逃げるように目を反らす。
「あぁ…」
お前の血を飲んだからな。