第3章 secret.2 正体
「おつかれ蓮華」
気の毒そうに千夏は蓮華の肩に手を置いた。
「…ぅん」
今は昼休み。
女子達の質問責めにあっていた蓮華はやっとのことで、逃げ出してきた。
「でも知らなかったな、蓮華が天羽くんと同棲してるなんて」
ニヤッとからかうように蓮華を見る千夏。
「うっ…ごめん」
「で、付き合ってるの?」
学食のうどんを頬張りながら千夏が尋ねる。
「ううん、付き合ってないよ」
蓮華もうどんを頬張りながら答えた。
「でも天羽くんイケメンだったね」
千夏は烙抖の姿を思い出すように宙を見つめた。
「…そうだね」
クラスの男子とは大違いな烙抖の容姿。
女子達が色めき立つのも分かるような気がする。
「蓮華は天羽くんとはどういう関係なの?」
うどんに入っている油あげをつつく千夏。
「えっと…」
どんな関係と言われても…。
烙抖は蓮華を餌として認識している。
そう、二人は契約関係にあるのだ。
しかしそれを千夏に言うわけにはいかない。
それを言えば、烙抖のことも説明しなくてはならなくなる。
蓮華は返答に困った。