第3章 secret.2 正体
「じゃ、天羽は椿の隣なー」
谷山は蓮華の隣を指名すると、生徒達に今日の連絡を始めた。
制服姿で席につく烙抖の様子を誰もが見ていた。
「転校生なんて聞いてないよ」
蓮華はこそっと烙抖に声をかける。
「言ってねえからな」
烙抖はさも当然だと言わんばかりの顔だ。
周りの女子は烙抖を見てなにやら話している。
「連絡は以上。あとはお前ら適当にやれー」
谷山はそれだけ言うと、頭を掻きながら教室を出ていった。
パタンと扉が閉められると、烙抖の周りに女子達が集まってくる。
「天羽って珍しいねー」
「どこから来たの?」
「彼女とかいる?」
烙抖は全ての質問を無視して、眉間にシワを寄せる。
迷惑だと言わんばかりに大袈裟にため息を吐くと、立ち上がって蓮華の手を掴んだ。
「烙抖くん?」
「彼女」
烙抖は掴んだ手を女子達に見せつけながら言った。
「「「え?」」」
女子達の顔から笑顔が消える。
「だから同棲してる彼女」
蓮華の腰に手を回して引き寄せると、女子達にニヤリと微笑む烙抖。