第3章 secret.2 正体
「ここか…」
蓮華が通う高校はマンションから徒歩20分の距離にあった。
公立の進学校。
まだ新しい校舎が烙抖を出迎える。
「烙抖くん、どこいくの?」
蓮華とは逆方向に歩いていく烙抖を引き止める。
「職員室」
「場所案内するよ」
下駄箱に向かっていた蓮華が小走りで烙抖に近づく。
「それくらい分かる」
烙抖はちょっと蓮華に視線を向けて、すぐに歩き出した。
周りの人間の記憶をいじるように、烙抖の頭にも多少の情報がインプットされている。
烙抖は迷うことなく職員室へと続く道を歩いて行った。
それを後ろから見ていた蓮華は大丈夫と認識して、下駄箱に向かった。
数人の生徒達と混ざって蓮華は自分のクラスの扉を開ける。
烙抖くんのクラスってどこだろう?
「蓮華おはよう!」
顔をあげるとそこには蓮華の友達、川口 千夏(かわぐち ちなつ)の姿があった。
「千夏おは…」
「聞いたっ?!今日転校生くるんだって!」
蓮華のあいさつを遮って千夏は興奮気味に話す。
…転校生?