第3章 secret.2 正体
「烙抖くんは留守番だよ」
カバンを持った蓮華が外に出てきて家の中を指差す。
俺は犬か。
烙抖は蓮華を睨んで踵を返した。
「俺様も学校だよ」
「えっ?!」
すっとんきょうな声をあげた蓮華が烙抖の後ろに続く。
「烙抖くんが学校?」
「ああ」
「その格好で?」
蓮華が烙抖の服を引っ張りながら言う。
烙抖は白のシャツとジーンズと言う差し支えないような格好をしている。
「ああ」
蓮華と初めて会った時と同じ服装。
「でも、なんで学校なの?」
蓮華は納得のいかない顔で烙抖を見上げた。
「契約したろ?」
烙抖はため息を1つついて説明をする。
「うん」
「それで俺がお前の隣にいても不自然じゃないように、周りの奴らの記憶をいじってんだよ」
そう、だから烙抖は蓮華の通う学校の生徒となっている。
クラスはもちろん蓮華と一緒。
説明に納得したのか、蓮華がそれ以降質問をすることはなかった。