第2章 secret.1 契約
そして残酷なほど、隅々まで調べあげるだろう。
人間は好奇心にあふれる残酷な生き物なのだから。
こう考えると血を貪る吸血鬼とどう違うのか分からなくなる。
蓮華はゆっくりと体を起こして、深呼吸をした。
「烙抖くんの他に吸血鬼っているの?」
烙抖は顎に指を置いて考える素振りを見せたが、すぐに口を開いた。
「存在はするだろうな。
どこにいるかは知らねぇけど」
「そっか」
じゃあ、私みたいに契約した人もいるのかな…。
蓮華は自分の手首を見ながら考える。
「…蓮華」
ふいに呼ばれて、頭を現実に戻す。
「このあざ、どうした?」
はだけた胸元を真剣に見る烙抖。
蓮華もそこを見ると、あざは風呂場で見たよりも赤くなっていた。
「多分、どっかで打ったんだと思う…」
「ならいい」
一瞬険しい表情をした烙抖だが、視線を外すとソファーに体を預けて目を閉じてしまった。
蓮華は胸元を直しつつもう一度あざを見た。
触っても痛みは感じない。
嫌な予感がしたが、あざごときでどうにかなることはないと蓮華は頭を振った。