第2章 secret.1 契約
「それは?」
「オムライス」
物珍しそうに出来たそれを眺める烙抖の目は輝いている。
なんかちょっと可愛いかも…。
「なに見てんだ」
そんな蓮華の視線に気づいたのか、烙抖は不機嫌そうな顔をした。
「何でもないよ。
…食べる?オムライス」
「……」
黙ったままの烙抖だが、視線はしっかりとオムライスにある。
食べたいんだ…。
分かりやすい、そう思いつつスプーンでオムライスをすくって烙抖の前に差し出す。
「なんだよ」
「いらないの?」
オムライスとにらめっこをしていた烙抖だが、やがて小さく口を開いてそれを食べた。
「どう?」
トロッと卵が口の中に広がる初めての食感。
意外と美味しかったオムライスに烙抖は表情には出さないものの、驚いていた。
「まあまあ…」
「そっか」
くすっと笑う蓮華。
…笑えんじゃねぇか。
さっきまで烙抖を怖がっていた蓮華の面影はどこにもない。
それには蓮華自身も驚いていた。
お風呂に入ったらスッキリしたのかな?
蓮華はオムライスを口にしながら、微笑んだ。