第2章 secret.1 契約
風呂から出た蓮華を烙抖はリビングで出迎えた。
「さっぱりしたか?」
「…うん」
吸血鬼にこんなことを言われると何だか変な気分になる。
蓮華はキッチンに入って、水を飲んだ。
火照った体には丁度いい水の冷たさ。
…そう言えば、昨日からご飯たべてないや。
そう実感すると、さっきよりも強く空腹を感じた。
蓮華は烙抖に目をやった。
烙抖はテレビに興味があるようで、さっきから何度もチャンネルを変えている。
…吸血鬼のご飯は血、だよね。
「一人分でいいか」
冷蔵庫の中身をざっと見てから、オムライスを作ろうと考えていた蓮華の体に手が伸びる。
「なにやってんだ?」
「なに…ってお腹すいたから」
ふーんと言いながら、冷蔵庫をピトピトと触る烙抖。
そんなに珍しいのかな?
「作らねぇのかよ?」
冷蔵庫を見ていた烙抖の視線が蓮華に移る。
「…え?」
「めし」
「あっ、うん」
調子が狂うな。
とりあえずケチャップライスを作ってから、ボウルに卵をとく。
その間にも烙抖は蓮華の手つきをじいっと見ていた。