• テキストサイズ

禁断ブラッド〜刻印の果実〜

第2章 secret.1 契約




「それは契約の刻印」


低く響く声に蓮華の体が硬直する。

聞き覚えがあるその声に、蓮華はゆっくりと首を動かして後ろを振り向いた。

蓮華を見下ろすように立っている人物は、首筋に傷をつけた犯人。

「吸…血、鬼」

平然とそこにいる男に向かって、蓮華は指をさし、消え入りそうな声で呟いた。

その言葉を聞いて口元を歪ませて笑う男は、紛れもない吸血鬼。

赤い瞳に映る蓮華の怯えた顔を見て、満足そうに近づいてくる。

「そんなに怯えんなよ」

蓮華と視線を合わせる為に膝を折り、少ししゃがみこむ形になった男は手を伸ばし、牙の跡が痛々しく残っているその首筋に触れた。

「やっ…!」

冷たく爪の長い男の指先が触れ背筋が凍る。

「お前は刻印を刻まれた身。
これよりその身は俺に捧げ、餌となれ」

耳元で囁かれた低く、教え込む言葉。

何…え、さ?

一体何のことを言っているのか分からない。

契約だの刻印だの餌だの。

明らかに理解が出来ていない蓮華を見ながら、男は小さくため息を吐いた。

「契約。互いに混ぜた血を体内に取り込んだだろ」

混ぜた血…。

蓮華は記憶を手放す前に口に広がった鉄の味を思い出した。

あれが契約?


/ 12ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp