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禁断ブラッド〜刻印の果実〜

第2章 secret.1 契約




誰…?

透き通ったアルトの声。

「……ん」

その声に導かれるように目を開いた蓮華のぼんやりとした視界は、徐々にはっきりしていく。

見覚えのある天井と覚えのある匂い。

…私の家?

辺りを確かめるようにゆっくりと布団から起き上がった瞬間、ズキンッと首筋に走る鈍い痛み。

「つっ!!」

夢…じゃない?

その事実にゾッと背筋に悪寒が走り、蓮華は首筋を押さえて布団から抜け出した。

気だるい体を引きずり、やっとのことで鏡の前に立つ。

そこに映る自分の姿…。

制服の襟元には乾いた血がこびりついており、既にそれは赤黒く変色していた。

血をみた途端に頭の中にはあの恐ろしい記憶が駆け巡る。


口から淫らに零れる血。

飢えた体。

鋭い牙が肌に突き刺さる感触。


どれも…現実?

「まさか…」

こんな非科学的なものが現実?

あり得ない。

この世には人間しか存在しないはずじゃなかったの?

体の力が抜け、呆然と瞬きをしながら蓮華はその場に座りこむ。

「…何これ?」

ふと違和感を感じ目に入ったのは自分の手首。

まるでブレスレットのような…でも、違う。

はっきりと刻まれた刻印。

その刻印はまるで蓮華の自由を奪うかのように刻まれている。

「タ、トゥー…?」

バラの刺をモチーフにしたようなそれは、蓮華の手首にしっかりと巻き付いていた。


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