第1章 好きって言って
言った通り、直樹はいっぱい電話してきた。
日曜は図書館で先週の復習と来週の予習をする。
でも疲れたら絵本読んだり、パン屋さんでパン買って食べたり。
結構遊んでることのほうが多いかも。
教室では相変わらず全然しゃべらないけど、日曜はほとんど一日中一緒にいた。
だから私は日曜が大好きになった。
…
もうすぐ中間テスト。
テスト一週間前になると部活ないし、直樹と一緒に帰れるけど…誰かに見られたら恥ずかしいなと思う。
別に直樹だから恥ずかしいってわけじゃなくて、男子と一緒に帰ってたら噂とかされるかもしれないし…。
夜、直樹と電話してるとき、私は話してみる。
「テスト前だから、私部活なくなるんだけど…図書館で待ち合わせて一緒に帰らない? 学校からだと変な噂流されたらイヤだし…」
直樹はそんなの意識しなさそうだから、「なんで?」って聞かれるかもと思ったけど…
「うん、いいよ。ゆうちゃんと一緒に帰れるなんて嬉しいな」
って、直樹は嬉しそうに言った。
よかった。私もすっごく嬉しいな。
…
テスト一週間前に突入。
私が教室から出たとき、直樹の姿はもうなかったけど…直樹のことだから約束忘れて先に帰ってたりして。
そんなことあったら電話して呼び戻しちゃおうかな。
図書館は中学校の割と近く。
いつもの帰り道より、ほんのちょっとだけ遠まわり。
でも嬉しくて、1人でニヤニヤしないように歩く。
…
図書館の前の広場のベンチで、直樹は座って待ってた。
「直樹! お待たせ」
私は直樹に声をかける。
「ううん、ゆうちゃん。帰ろう」
直樹は立ち上がって、私の手を握った。
「え…? ちょ、ちょっと…直樹…。中学生にもなって恥ずかしいよ。手、繋いで歩くのは…」
私は平静を装いながら、なんとか言う。
超ドキドキしてるけど。
「えへへ、そっか。ごめんね」
笑いながら、直樹は手を離した。
ふー…ビックリした…。
けど、ちょっと残念…かな?
私たちは並んで話しながら2人で帰る。