第10章 君に会いたい
「私、エロいの書いてみたんですよ」
「文芸部の顧問ビックリするやろな」
「文芸部には出しませんよ。ネットにアップしたんです」
「へぇー」
終わった後、ベッドで話す。
多分これも最後。
でも寂しくない。
私の心はすっきりしてる。
それは私の心と身体が繋がってるから。
私のすべてはエロいことに支配されてるんだと思う。
「俺にも見せてくれるん?」
「いいですよ。でも読まへんでしょ?」
「エロいのやったら読むって言うたやろ?」
私は先輩にそのサイトを教えた。
…
「ゆうちゃん」
その日、別れるとき、先輩が少し真面目な声で私の名前を呼んだ。
そして言った。
「これからもいろいろ書き続けてね」
私は嬉しくて、すごく嬉しくて、笑顔になった。
「はい。先輩も、東京で頑張ってください」
「うん! ありがとう」
私たちは手を振って別れた。
先輩は教えたサイトを見るかな。
私の書いたものを読むかな。
やっぱり読まないと思う。
でももしかしたら読むかもしれない。
そう思うと筆が進んだ。
…
先輩、これは先輩へのラブレターです。
私は先輩は愛がいっぱい欲しいんだと思う。
いっぱい欲しいから私にもくれる。
みんなにもあげる。
私はそんな先輩が好きです。
弱くてダメな先輩が大好き。
東京で辛いことがあったら帰って来てね。
私、先輩にちゃんと愛をあげる。
待ってる。
また会える日まで。
fin