第1章 好きって言って
直樹の部屋にそのまま一緒に帰って、私たちはテスト勉強を一緒にする。
日曜に予習復習を一緒にするようになって、直樹も少しは勉強出来るようになった…気がする。
テスト勉強はさすがに真面目にする。比較的。
一生懸命ノートに文字を書く、直樹の手をなんとなく眺める。
直樹…顔とかは女の子みたいに可愛らしいのに、手はあんなに男の子っぽいんだ。
あの手で…私の手、握られたんだ。
と思うと、私の身体の温度が上がっちゃう気がする。
「ん?」
視線に気づいたのか、直樹が顔を上げてニッコリ微笑む。
「…なんでもないよ」
私もニッコリ微笑む。
私、変な目で見てたってばれてないかな…。
…
中間テストが終わって、私は部活を再開。
直樹は帰宅部だから、そのまま家に帰る。
「テレビゲームばっかしないでちゃんと勉強するんだよ?」
って言ったら、直樹は嬉しそうに頷いた。
直樹の中間テストの結果は、直樹的には割とよかったみたい。
夜、嬉しそうに電話してきた。
私も嬉しかった。
実は、直樹が「宿題わからない」ってかけてくる電話が少なくなって寂しかったから。
電話で直樹は言った。
『ねぇ、ゆうちゃん』
「なに?」
『宿題わからない以外でも電話していい?』
「うん、いいよ」
『よかった』
直樹は嬉しそうに笑った。
私もすっごく嬉しかった。
私はずっと前からそう言いたかったんだけど、勇気がなくて言えなかったんだ…。