第1章 好きって言って
部活が休みの日、帰り道を1人で歩いてると直樹が1人で歩いてるのを見かけた。
「直樹!」
私は直樹に駆け寄って声をかける。
「ゆうちゃん。なんかひさしぶり」
直樹が嬉しそうに笑う。
「何、言ってんの。同じクラスじゃん」
私は直樹に突っ込むけど…実は私も同じ気持ち。
「ゆうちゃん、今日部活は?」
「休み。そういえば…今日数学の宿題いっぱいあるよね。直樹大丈夫? 手伝ってあげようか?」
「え? いいの?」
「いいよ。直樹ん家でやる?」
「うん。来て!」
…
私たちはそのまま直樹の部屋に行く。
「ちょっとー。春休みにせっかく片付けたのに…何これ」
散らかった学習机を見て、私はなげく。
「えへへ…ごめん」
直樹はヘラヘラ謝る。
「まったく」
文句を言いながら、私は片付ける。
そして宿題を一緒にする。
「直樹、なんでいつも宿題忘れるの?」
私は直樹に尋ねる。
「うーん…難しいから…」
「忘れてるんじゃなくて出来ないんなら先生にそう言えばいいのに」
「うーん…」
恥ずかしくて言えないのかなぁ。
「また勉強教えてあげようか? 日曜、暇な日とか図書館で一緒に勉強する?」
「いいの?」
「うん、いいよ。後、宿題わからないときあったら、私にメッセか電話してきなよ。教えてあげる」
「いっぱいわからないから、いっぱい電話しちゃうかも…いい?」
直樹が心配そうに、私の目をのぞく。
「いいよ」
私が笑うと、直樹もホッとしたように笑う。
私は…いっぱい電話してもらいたいの。