第1章 好きって言って
新学期が始まった。
直樹と同じクラスになった。嬉しい。
私はウキウキで教室に入る。
直樹はまだ来てないみたい。
私と同じバスケ部の女子が2人教室でしゃべってた。
私に気が付いて声をかけてくれる。
「ゆうー、同クラだね!」
「うん、ラッキー。友達いて助かった」
私はそのまま女子バスの友達の輪の中に入る。
少し遅れて、直樹が教室に入ってくる。
目が合うと、直樹は一瞬ニコッと笑った。
私も一瞬だけ笑う。
でも女子バスの友達の会話にすぐ戻る。
直樹は自分の席を探して、そのまま座った。
…
同じクラスになったけど、学校で直樹と話すことはなかった。
登校は、直樹はいつもギリギリだから会うこともないし、帰りは私は部活、直樹は帰宅部だから会わない。
休み時間やお昼は、私は女子バスの友達とずっと一緒だし。
一緒のクラスになって改めてわかったけど、直樹の勉強は思ったより遅れているみたい。
それどころか宿題もたびたび忘れて、よく先生に怒られてる。
反省する様子もなくヘラヘラしてるので、さらに怒られたりもしてる。
本当、要領が悪い。
クラスの男子からもちょっとバカにされてる雰囲気…。
女子だったら、かばってあげたり一緒にいたりしてあげられるかもだけど、男子のことはよくわからないし、私にはどうにも出来なかった。
…
遠足の班が男女グループだった。
私たちは男バスの子がいるグループと同じ班になった。
私は直樹と同じ班になりたいって友達に言えなかった。
春休みは毎日のように、あんなに仲良くしてたのに、ほとんどしゃべることもなくなった。
しゃべりたいけど…
私は他の人の目があるとこで、直樹に話しかける勇気がなかった。