第10章 君に会いたい
私は文芸部。
多分、文芸部の女子としてイメージするまんまのタイプだと思う。
地味に生きてる。
だから先輩のこと、1年ときはずっと違う世界の人だと思ってた。
でもなんとなく見てた。
こっそり見ていたつもりだけど、先輩は見られていることに気付いてた。
先輩はそういうことがちゃんとわかる。
そして、私がエロいってこともちゃんとわかってたんだと思う。
私は知らなかったのに。
…
「文芸部、頑張ってる?」
sex した後、ベッドの上で先輩としゃべるのが好き。
する前はドキドキして上手くしゃべれないから、した後のがいい。
「頑張ってますよ」
私は先輩の顔を見ないまま答える。
先輩は裸のままで、裸のままの私を背中からそっと抱いてくれてる。
気持ちよくなった身体に、ときどき当たる手と肌の感触にふわふわする。
「今、何書いてるん?」
「恋愛小説です」
「エロいやつ?」
「エロくないですよ」
私は先輩のほうを向き、顔を見て笑う。
先輩はニコニコして私の髪を撫でる。
指先がさりげなくうなじに触れる。
いちいち気持ちいい。
「エロいの書かへんの?」
私の頬をそっと持ち上げ、目を見て尋ねる。
からかわれてるみたい。
そういうのも心地いい。
「書いてもそんなん文芸部に出せないじゃないですか」
負けずに先輩の目をじっと見上げる。
「俺に見せて」
唇にチュッて、先輩がする。
「先輩そんなん読まへんでしょ?」
「エロいんやったら読むで」
「そうなんや」
私たちは笑う。