第10章 君に会いたい
「なぁ、ゆうちゃんは俺にチョコくれへんの?」
バレンタインデーの3日後、部屋に行ったとき尋ねられた。
「欲しかったですか?」
「欲しい! ちょーだい」
先輩はニッコリ笑って手を差し出す。
「準備してなかったです」
「えぇー? なんでぇ?」
先輩はかわい子ぶって唇を尖らせる。
あざといけど、ちゃんとかわいい。それにセクシーでもある。
「私があげへんくても、いっぱいもらうでしょ?」
私は勉強机の上をチラッとみる。
机の上には勉強道具じゃなくて、可愛らしい紙袋や包みが積まれてる。たくさん。
「ゆうちゃんのチョコ欲しかったなぁ…」
先輩は私の頬に手を添えて、そこから目を逸らさせる。
そして私の目をじっと見つめる。
「身体で払ってくれる?」
私は思わずクスッと笑う。
先輩もフッと笑う。
先輩のそんな笑顔を見ると、私の身体はすぐに熱くなってしまう。
「いいよ」
私は答える。