第9章 クリスマスですよ! 先輩
クリスマスイブ!
終業式とホームルームが終わって部室に顔を出す。
「先輩!」
解散した後、私は先輩に声をかける。
「うん?」
先輩は笑顔で答えてくれる。
「クリスマスですね」
私は確認してみる。
「クリスマスだねぇ。田中さん、今夜ログイン出来る?」
先輩がニコニコする。
「はい、出来ます。あの…先輩、これ、プレゼントです。メリークリスマス!」
私は用意しておいたプレゼントを渡す。
「へっ? プレゼント? 僕に…ですか?」
「はい。クッキーなんです。スノーボールクッキーっていって割れやすいんで気を付けて持って帰って下さいね」
「え? え? え? いいんですか? 僕に?」
「はい、先輩に。先輩がプレゼント用意しておくって言ってくれたから、私も準備しました」
「え? いや…僕が用意してたのはゲームのアイテム…。田中さんが最近ゲームに飽きてきてる気がして…。欲しがっていたレア装備をプレゼントしたら、また頻繁にログインしてくれるかなって…」
うん、だいたいそんな感じだと思ってた。
「私はゲームの中で先輩にプレゼント出来るようなものないので」
「そんなこと気にしなくていいのに。ゆうぽんのためならなんでも…あっ、いえ田中さんのためなら…」
「ありがとうございます」
私はニッコリ笑ってお礼を言う。
たとえゲームの中でも、私のことを先輩が気遣ってくれる…嬉しいんだ。
「あ、あの、何かお返ししないと…。どうしよう、どうしよう…」
先輩がちょっと困った顔をしてる。