第9章 クリスマスですよ! 先輩
「レア装備くれるんですよね?」
私は先輩の顔を覗き込んで確認する。
「もちろん、それは差し上げます。でも…リアルでこんないいものをもらってしまっては…」
「え? クッキーですよ? しかも、私が作ったものなので気を遣わないでいいですよ」
私はちょっと笑う。
しょんぼりしてる先輩が少し可愛い。
「えっ…手作り? そんなっ…そんな良いものを僕に…」
先輩の顔が赤くなる。
先輩…こんなに可愛いの?
いつもパソコンの前で、どんな顔してギュッとかチュッとか言ってるの?
「お昼ごはん…行きませんか?」
「えっ」
「お返しにお昼ごはん一緒に食べてください」
私は提案してみる。
「えっ…お昼ごはん一緒に食べるのがお返しに…? あっ、はい、わかりました! ごちそうします! お昼ごはん」
ふふっ、一緒に食べてくれるだけでお返しになるけど…
せっかくだから、ごちそうしてもらおうっと。
「やった。モス行きましょうか。私、モスチキン食べたい」
「モスでいいの? あ…クリスマスだからか。うん、いいね。行こう」
先輩も笑顔になる。
「あの…ゆうぽん…いや、田中さん」
「はい?」
「あの…ゆうぽん…って呼んでいい?」
少し恥ずかしそうに先輩が提案する。
「はい!」
私は嬉しくなる。
リアルとパソコンの中…
ちょっと繋がった?
…