第6章 ねぇどっち?後編
遠藤くんが帰った部屋で、私はひとり、頭を抱える。
遠藤くんは自分で言った通り、今日あの後も今までと変わらない態度だった。
でも、もし、私が交際を断れば、こんなふうに仲良く話すことは出来ないの?
私は遠藤くんのこと…
良太に色気付いたって言われたとき、私は遠藤くんのことが思い浮かんだ。
遠藤くんと毎朝歩くから、私は髪にリボンをつけたり、色付きリップを使うようになったのかなって…。
でも、遠藤くんと交際するとしたら…
遠藤くんの今日の言動を見るに、私が良太と今までのように仲良くすることをよく思わないかもな…。
良太とは小さい頃から仲良し。
スポーツ大好きな良太と本が大好きな私だから、大きくなるにつれて一緒に遊ぶことは少なくなったけど、
顔を合わすといろんなこと話して、話さなくても一緒にいてラクで…
好きなんだ、私、良太のこと。
良太もそうだと思う。
私にいろんなこと頼ってくれたり、そうかと思えば、私の顔見ただけで調子いいとか悪いとか勘付いてくれて、さりげなく励ましてくれたり…。
まぁそれは遠藤くんが思ってるような感情とは違うと思うけど…。
トントントン…
部屋の扉をノックする音。
お母さん? わざわざノック?
「はい」
私は扉に向かって返事する。
ガチャ…
扉が開く。
……。
良太!?