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渡り廊下で恋をした

第5章 ねぇどっち? 前編


「朝、間に合った? 電車」

良太の部屋で勉強しながらおしゃべりする。

「なんとか間に合ったよ」

「ゆう、もっと早く起きなよ。来年からは一緒に通うんだよ? 僕、駅まで毎朝走るなんてイヤだよ」

「……。良太もうちの高校行くつもり?」

「は? 行くよ? だからこんなに勉強してるんじゃん…」

「無理して入っても、後が大変だよ。良太の学力的には自転車で行けるN高校のほうがちょうどいいんじゃない? バスケ部だってN高のが盛んでしょ」

「ゆうは無理して入ったんだろ! なんで僕にはN高でいいとか言うんだよ…」

良太が少し声を荒げて反論する。

「え…。だから、私が無理して入っちゃったからこそ言ってるの。勉強難しいし…周りはみんな出来るし…大変だよ。
良太はバスケもやりたいんでしょ? なら自分の学力に合ったとこのほうがのびのび頑張れると思うよ」

「なんだよ…。1コ上だからって偉そうに…。誕生日でいえば半年しか違わないんだぞ。
自転車だって逆上がりだって…。
僕のほうが先に出来るようになったのに…」

「……」

良太が不機嫌に黙り込む。

また子供みたいに…。

こんなときは何言ってもムダだから、私もとりあえず黙る。

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