第1章 好きって言って
テスト一週間前。
1学期はテスト前とテスト中の部活ないときは、図書館で待ち合わせして一緒に帰ったけど…。
教室を見渡す。直樹の姿はもうない。
直樹、もう家帰っちゃったかな。
最近、全然話してないし、そんな約束もうなくなっちゃったかな。
でも、私は図書館に寄って行こう。
自習席でちょっと勉強して帰ろう。
勉強しにいくだけだから。
直樹がいなくても、私は傷ついたりなんてしない。
ほんの少し遠まわりして、私は図書館に向かう。
…
図書館の前の広場のベンチに…
直樹は座ってた。
「ゆうちゃん」
直樹が私をみつけて声をかける。
「直樹…何してんの…?」
私は直樹に問いかける。
「ゆうちゃん待ってた」
直樹がニッコリ笑って答える。
「そんなずっと前の約束…私、忘れてるかもしれないのに」
「でも会えた。ゆうちゃんはどうしてここに来たの?」
「私は図書館でテスト勉強…
ううん、直樹に会いたかった。直樹と話がしたかったから…」
涙が出そうになる。でも必死でガマンする。
直樹が立ち上がって、私のそばに来る。
「話そう」
直樹が優しく微笑む。