第2章 sugar.1
夢を見ないほど深い眠りに落ちていた俺の意識が、ゆっくりゆっくり…浮上していく。
「…っ、はっ…」
それに伴って聞こえてくる苦しげな息遣いに危機感を感じ、俺はがばっとベッドから起き上がった。
しかし…苦しげな息遣いは部屋の中にはあらず、しんと静まりかえっている。
カーテンが閉まっている窓はもう明るくなってきていたが、まだ少し早い時間だろう。
おかげで部屋の中の様子がよく分かる。
「…歩?」
ふと視線を動かした先。
隣に寝ていたはずの歩の姿が無かったが、その場所にはまだ温もりがあった。
喉が乾いたか、トイレに行っているのか…そう考えるのが普通だと思うが、嫌な予感が俺の心臓をドクンッと鳴らす。