第2章 sugar.1
様子を見に行ってみよう。
そうすればこの不安も取りのぞけるはずだ、とベッドから降りる。
床についた足の指先からひんやりとした冷たさが伝わり、一瞬その足を引っ込めた時だった。
「…ぁ…っ…!!」
ガタッと何かが倒れた音とか細いが苦しそうな声が聞こえ、俺は慌てて部屋のドアを開き外に出た。
廊下の電気は付いてなく冷たい空気が肌に当たる中、うずくまる歩の影に気がついて、俺は側まで走り寄った。
「歩?!大丈夫か?」
「っ、はあっ…はっ……ぐっ……」
壁に手をついて胸元のシャツを握っている歩の視線がこちらに動く。
額ににじむ汗、苦しそうに酸素を求め開く口、涙の溜まった瞳、上下に大きく動く肩。
すぐにこれが緊急事態なのだと分かった。
ひゅーっと喉を鳴らしながら苦しそうに顔を歪める歩に、過呼吸なのだと分かった俺は歩の体を引き寄せた。