第2章 sugar.1
何て顔してんだよ…。
まるで子供の遠出を見送る親の嬉しくも悲しい…そんな複雑な表情。
「…っ、お前は男の経験豊富だもんな!」
「まぁ、まっすんよりは…ね?」
変な空気を消したりたくて、俺はわざと明るい声で彰に言葉を投げかける。
彰もそんな俺の言葉を受けて、顔面に笑顔を貼り付けた。
なんだこのよく分からない罪悪感は…。
俺はちくちくと胸を刺す痛みに顔を歪め、唇を少し噛みしめる。
「でも、まっすんが下だったんだね」
「………は?」
下……?
いや、何と無く想像はついてたけど…と続けた彰を見つめる俺の頭の上にはクエスチョンマーク。
「まっすんの事だから、無理矢理にでも上をとると思ってた!」
彰の言葉を数秒かけて頭の中で整理してまとめる。
そこから導き出された答えに、何故そんな疑問を彰が持ったのか分からずに俺は口を開いた。