第2章 sugar.1
「…ん?どうかした?」
じっと見つめていた俺の視線に気づいた歩が下から覗き込む様に体を傾ける。
「何でもねぇよ、バカ」
生意気な歩の顔を手のひらで軽く叩いてやる。
文句を言う歩を無視して窓を見ると、空が薄っすらと明るくなってきている。
時計を見ると針は午前7時過ぎを指しており、そろそろ学校に行く準備をする時間が迫っていた。
まだ少し体はあの行為の余韻を残しているが休む訳にはいかない。
「ほら、もう準備する時間だ」
歩の体を押しやってソファーから立ち上がり、すでに沸いていた電気ポットからマグカップにお湯を注ぐ。
「…真澄、朝ごはんのリクエストある?」
「んー…。トーストが食いたい」
「分かったー」
完成した甘めのコーヒーを口にしながら歩とすれ違い、リビングから出る。
背後からは歩が朝食を準備する音が後を追うように聞こえてきた。