第2章 sugar.1
ぐったりと抵抗することなく倒れこんできた歩の体を、膝立ちになった状態で後ろから抱きとめる。
ずるっと滑り落ちる歩の体をしっかりと固定してから、俺は酸素を求めて開く口に手を近づけた。
「はっ、はっ……」
「歩…ゆっくり息しろ。……そう。ゆっくりな」
「…っふ。…は…っ、は…」
涙の膜が張った歩の瞳が揺れ、そこから涙がこぼれ落ちる。
きゅっと俺の腕を握る歩は言われた通りにゆっくりと呼吸を繰り返した。
熱い吐息が俺の手のひらに当たり、歩の中へと戻っていく。
何度かそれを繰り返していくうちに歩の呼吸がだんだんと整っていく。
強張っていた歩の体の力も抜けていき、俺の体に寄りかかるようにして最終的に歩は力を抜いた。