第3章 洛山高校バスケ部の姿
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斎「ここが部屋。なかにいるみたいだから見てくる」
「わ、わかった」
やっぱり第一印象は大事だよね。
で、でもありのままの方がいいかな?
あ"~~…。
斎「入っておいでよ、」
「は、はいっ!」
そ~っと入った部屋には、私と斎希の他に、1人いた。
?「いっちゃん、その子が新しい人?」
斎「そう。噂の転校生」
朔「そっかぁ~。あたしは葛原朔耶(くずはらさくや)。よろしくね~」
のんびりとした柔らかい声。
とっつきやすそうな見た目に、私はひとまずホッとした。
「私は。よろしくね」
朔「かぁ…じゃあちゃんね~」
…?
斎「朔耶はあだ名をつけるのが好きなのね」
「いいよ!よろしくね朔耶ちゃん」
朔「ちゃんのベッドはここね。わからないことがあったらいっちゃんやあたしに聞いてね」
「ありがとう!」
斎「朔耶に、ちょっと一休みさせて」
朔「いいよ~。ご飯の時間は起こすね」
きっと疲れたんだな。
私も斎希や朔耶ちゃんのストレス増やさないようにしないと。
朔「…いっちゃんって本当に強いよ」
朔耶ちゃんがふとつぶやいた。
「朔耶ちゃん?」
朔「いっちゃんね、お父さんとお母さん、いないんだって。下に2歳差の妹さんがいて、たった1人で育てて守ってきた…。そう言ってた」
「……………」
朔「だけどここ入る前に、妹さんは教会に行っちゃったんだって。いっちゃん、泣いてたよ」
「斎希が?」
朔「そう。私はあの子を守れなかったって。自分は精一杯やっただろうに、自分のことも大変だったろうに」
「…………」
私はなにも言えなかった。
朔耶ちゃんの言葉が重い。
きっと斎希を陰で支えてきたんだろう。
急に私は自分が小さく思えてきた。
何気なく外を見ると、薄暗い空に雲がかかっていた。