第6章 〜たったそれだけで〜
『んじゃまー、ぼちぼち皆の所に向かいますか』
それぞれが自分の歩幅で歩き出す。私はさっきのことを思い出していた。大輝が私が橎堂の寺の娘だってことを知らなかったのが驚いた、名字で分かるだろ
大輝にはあんなことを話した後だし、親が二人いるのかとか思われていそうだ。
…この際皆に話すか。あの時の出来事と、この病院のこと。
そんなこんなで1人で考え事をしたり雑談などをしながら歩いていると、見覚えのあるドアが見えてきた
『ほれここ、ここだよ』
青「案外近ぇんだな」
がちゃりと音を立てて開いた扉は、廃墟の割には新しく感じられたのは昔の感覚があるからなのだろうか
高「ユウカ!!!」
緑「!?ユウカ…!」
部屋に入ると共に聞こえた声はやはり和成と真ちゃんだった
『もう!ユウカ!じゃないわいボケナスがー!』
照れ隠しで抱きしめてきた二人を引き剥がしてから軽く胸板を殴る
真ちゃんに関しては柄にも無い行動で余計心配してくれたんだなぁって嬉しくて。
高「お前!心配してもらった人の行動かよ!お前がいなくなったせいで俺らがどれだけ心配したか…!」
『…それに関してはごめん…黒子君、氷室さん、木吉さんもごめんなさい、心配をおかけしてしまい』
木「いや、俺らは大丈夫だよ。お前が怪我とかさえしてなければの話だけどな」
黒「(カウント3)いえ、一番ヒーヒーうるさかったのは高尾君と氷室さんですから、お2人にお願いします」
『えっなにそれ。和成は分かるけど』
氷「my angel…どれだけ僕が心配したか…!気が狂いそうだったよ…!おかげでここら辺の怪物はほとんど倒してしまったよ」
既に狂ってる
『はいごめんなさいすいませんでしただから離れてくださいいい匂い』
てかこんな茶番してる暇なかったわ
『皆もごめんなさい、心配かけて。でも、これから大事な話があるの。赤司くん、この場をお借りして話してもいいかな』
赤「…ユウカがそんなこと言い出すということは重要な話なんだろう。いいよ、話しておきな」
『ありがとう。ごめんね、長くなるかもしれないけど早めに話しておきたくって。別に隠す事でもないし』
高「ユウカ」
私の名前を呼んで、静かに手を握ってくれる和成。ありがとう
『それじゃあ、話し始めるね』