第6章 〜たったそれだけで〜
火神side…
一瞬の出来事だった。
あいつが刀を抜いてペットボトルを斬り、走り出してから、俗に言うバケモノに切りかかるまで
なんつーか、俺らしくねーけど…正直に言うと、美しかった。凄く、綺麗だった。
バケモノを斬った後に立つ謎の煙に紛れ、濡れた前髪をかきあげながらゆっくりと歩いてくるあいつは、日本でいうサムライ?なのか?現代にいるならこんな感じなんだろうなって感じだった。天才かよこいつ
まあ本物はもっと凄いんだろうけどな。
『大輝、大我、大丈夫だった?』
火「おかげさまでな。お前やっぱすげーな、あそこんとこの寺の娘なだけあるな。そのうえあのじーちゃんに剣術だかなんだかとか空手とか習ってるんだろ」
『まあねーん。おじ様の練習の甲斐があったって言うやつ?ブフォッ、今の私かっこいい。まあ実践したの初めてなんですけど、っはぁ〜い』
前言撤回、こいつはアホの子
青「えっお前まじかよ!」
『えっ逆にあんた中学の時あんだけ一緒にいたのに知らなかったわけ』
青峰もアホ峰だった。まあこいつは安定だが
青「えっ逆に俺以外のヤツみんなみんな知ってんのかよ」
『えっそうだけども』
火「お前らさっきからえっえっえっうるせえ。青峰、俺ですら知ってたからな。…まあー、なんだ。ユウカ、ありがとな。お前いなかったら俺ら死んでたわ」
青「あぁ、それは同感だ。ありがとよ」
『いいよいいよ、無事で何より』
そう言って笑ったあいつは、いつもの笑顔じゃなくちょっと切なそうに見えたのは気のせいだったのだろうか。
まあ横でデレデレしてるアホ峰がユウカの笑顔に疑い、ってか違和感なく嬉しそうに笑ってるのを見る限り、ユウカの事が好きなのだろう。
まあー、ユウカことを惚れ込んでるのはみんな多分知ってるが
…他にもユウカのことが好きってやつは沢山いるが、なんせこいつが鈍感だから押せ押せの奴もいれば、ひっそりと想うだけのやつもいるけど
んあ、俺?俺はー…まあ、過去形、ってやつだな。
今は可愛い妹みてーな感じだよ