第5章 すれ違い
いやタイミング悪すぎだろ!
とりあえず歯だけさっと磨く。
ドアを開ける前に手で髪を整えて…って
俺は女か?いやいやとまたボサボサにする。
「はい、ってお前本当に来たのかよ。」
「す、すみません。心配でしたので…。」
「…あがれよ。そこまで綺麗じゃねぇけど。」
「いえ、お邪魔します…。」
栗橋は預けられた子供のように
きょろきょろしながら部屋へと歩く。
幸い俺は綺麗好きだったので、
散らかったりはしていなくて助かった。
「お広い所に住んでらっしゃるんですね…。」
「ん、そうか?親父が払ってるからな。」
「…お金持ちなんですね。」
「いや?俺母親いねぇから。」
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