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ブーゲンビリア

第1章 突然の来訪者




「めぐみ様がフローリングの床に座られるのに、僕がクッションを使うわけにはいきません!どうかお気遣いせずに、めぐみ様がお使い下さい。僕はこのままで大丈夫ですので。」
「え、でも…大丈夫ですよ?」
「僕が大丈夫じゃないんです!お願いします!」

懇願されるような内容ではないのだが、そうまで言われてしまっては二の句が告げない。渋々クッションを自分の方へ引き寄せ、彼と向かい合うように座った。彼はフローリングの床の上に正座だ。足が痛くないかと心配だったが、これ以上話題を引っ張るのは野暮だろう。申し訳なくなりながらも二人で腰を落ち着けた時、私の携帯が着信を告げた。何の設定もしていない基本の電話着信音が鳴り響き、彼に断りを告げて表示相手を見る。母だった。何となく嫌な雰囲気を感じ戸惑っていると、彼に電話に出るように促されてしまう。まさかここで切るわけにもいかず、一度息を吸ってから携帯を耳元へ近付けた。

「…はい。」
『もしもし、めぐみ? 朔夜君のことは聞いてる?』
「…あの、話が見えないんだけど…というか、目の前にいます。」
『あら、随分早い訪問ね。その様子だと何も聞かされてないみたいね…。まったく、本家も名ばかりだわ。』
「お母さん…?」
『仕様が無いから、説明するわ。単刀直入に言うと、彼はこれから貴女を守ってくれるのよ。何から守る、なんて説明は要らないと思うけど…。落ち着いて聞いてね?』
「………。」
『今日から貴女と朔夜君は一緒に住んで、貴女の身辺護衛をしてもらうことになってるの。』
「………はああああああ!!!??」


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