第6章 告げられた想い
「…っは、めぐみ様…。」
「んっ…さく、や…。」
休憩もおざなりに再び口付けられ、抵抗も出来ずに受け入れる。ぴちゃぴちゃと濡れた音が響くのがまた恥ずかしくてぎゅっと目を瞑ると、朔夜は深く深く私を抱き込んだ。まるで一寸の隙間も許さないと言う様に。食べ尽くす様に口付けられ、今度こそ解放された時には私は肩で息をしていた。目尻に浮かんだ涙さえ愛しそうに舐められて、そのままベッドに倒れ込む。
「さ、さくやっ!こ、これ以上は…!」
「…今はまだ、これだけで我慢します。ですから、傍に居て下さい…。」
これだけで、とまた啄む様に口付けられ、ぎゅっと抱き締められたままそう告げられる。我慢すると言ったのは朔夜なのに、幾らかその声色が辛そうで思わず心配になってしまう。堪える様に私を抱き締めたまま頭を撫で、肩を撫で、背を撫で、うっとりと目を閉じる朔夜。このまま一緒に眠るのだろうかと気が気じゃない私の心臓はパンク寸前で、逃げる様に言った。
「す、スーツ!皺になっちゃう!」
「…ああ、そうですね。」
「朔夜、着替えるから離して…?お風呂も、入りたいし…。」
「…………。」
弱弱しく伝えるも、朔夜はまたじっと堪える様に私を抱き締めたまま動かない。どうしたものかともぞもぞと身を捩ると、小さな声が聞こえて来た。「まだ、もう少しだけ」そう聞こえた声に、私はついつい絆されてしまう。これが惚れた弱みと言うものなのか。仕方ないなあと朔夜の背に回した腕を感じたのだろう嬉しそうに首筋にすり寄って、きつく吸われる。あっと気が付いた時にはもう遅く、そのままブラウスのボタンを二つ外され、幾つかの痕を残された。ドキドキと止まない鼓動を感じながら、声を漏らさないようにするので必死だった。そのうち満足したのか胸元から顔を上げて、朔夜はすぐ横で私を見つめる。その表情が酷く幸せそうで、それだけで幸せだと思えた。
「めぐみ様…愛しています。」
囁くように告げられたその言葉に応えようとすれば、また優しく口付けられた。あんなにも耐えきれないと思っていたこの甘い空気にすっかり骨抜きにされた私は、それから朔夜と30分ほどただただベッドの上で抱き合って時折唇を合わせ、受け止めきれないほど降ってくる愛をひらすらに受け止めていた。