第2章 役割分担と買い物をしましょう
江島side
私は今、夜神先輩と買い物に来ている。
結局のところ桜原先輩も参加する事になって、31日までにそれぞれがする役割が決まった。でも、どうして桜原先輩はファンシーグッズが好きな事を知られたくないんだろう? 凄く可愛いと思うのに。
「……江島?」
声をかけられハッと我に帰る。
そうだった、買い物に集中しなきゃ。
小野ちゃんの作ったあみだくじで、私と夜神先輩の2人でパーティー用のお菓子を買う事になった。夜神先輩は「インチキだ」とか「嵌められた」とかぶつぶつ呟いてたなぁ。
「俺、あまり菓子とか詳しくないから……お前が選んでくれ」
「え。あ、はい」
先輩に言われた通りに、目の前に並ぶ色とりどりのお菓子達を見つめる。
同じお菓子で同じ量でもハロウィーンパッケージが普通のやつかで全然値段が違う。
予算は限られてるし……どれにしようか。
「普通のやつがいいですかね?」
「何がだ?」
少し離れたところにいる先輩を呼び、2つの箱を手に取る。
普通のコアラが印刷されたチョコ菓子と、可愛らしいお化けの着ぐるみを着たハロウィン版のチョコ菓子。
内容は同じだけど、値段が80円ぐらい違う。
「安い方でいいんじゃないのか? どっちも同じ物だろう?」
「ですよね。なんでこんなに値段が違うんでしょう?」
「さあな」
先輩はクールだ。
私と話している間も淡々としているし、そんなに感情の起伏がない。佐々野先輩と大違いだ。
「それじゃあ、こっちにしましょう」
普通のチョコ菓子を買い物かごに入れ、次の物を選ぶ。
「……江島は甘いものが好きなのか?」
突然そんなことを言われたから、びっくりした。
振り返ると、夜神先輩はやっぱり無表情のままだ。
何を考えているのかわからない表情に、少しどきりとする。
「えっと……はい。甘いものが好きなんです」
自然と顔に微笑みが浮かぶ。にやにや笑って気持ち悪い女、って思われたらどうしよう。