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Hallowe’en party

第6章 仮装をしましょうか。




リビングから鈴木先生と両親の談笑、小野の興奮した声と桜原の叱責が聞こえてくる。
こんなふうに誰かを呼んで賑やかに過ごすことなんて、ほとんどなかったから短時間でくたくただ。特に小野に疲れた。
ずるずると壁に背を持たれ座り込むと、リビングのドアが開き、江島が出てきた。


「隣、いいですか?」
「あ、あぁ」


江島はおっとりとした動作で俺の隣に座る。この服装は江島らしくないな。


「この服、小野ちゃんに言わせると『小悪魔衣装』なんですって」


『小悪魔衣装』とはよく言ったものだ。小悪魔とかそういうレベルじゃないからな、小野。


「夜神先輩の服、似合ってますね」
「……それは言うな。トラウマになりそうだ」
「?」


小野が、意味がわからない、という風にキョトンとして笑みを浮かべる。天然というかこいつは鈍感だ。
ふと、前から思っていた事があったので、訊いてみる事にした。


「江島は大変じゃないのか? 小野と一緒で」
「どういう意味ですか?」
「いや、江島と小野はタイプも違うし、俺から見たら江島は振りまわされっぱなしに見えるから……」


そこまで言って、言いすぎたかと心中で舌打ちする。
普段絶対に訊かないような事を、江島の前では喋ってしまう。
だが江島は、俺の無遠慮な質問にまったく嫌な顔をせず、はにかんだ。


「よく言われます。でも、小野ちゃんはかっこいいと思うんです。私、中学2年生まで『うん』とか『そうだね』とかぐらいしか言わないぐらい無口だったんです。でも、中学3年生の時に小野ちゃんと同じクラスになってから、私はちょっとずつ喋るようになったんです」


目を細め、和やかに口元に微笑みを浮かべる江島。
リビングの喧騒の中で、江島の声がはっきりと聞き取れる。


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