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Hallowe’en party

第6章 仮装をしましょうか。



「セクシーだな! 江島ちゃん! すげぇ似合ってるぞ!」
「でしょでしょ!? やっぱ自分って服のセンスがいいと思うんっすよね!」


なぜか小野が身を乗り出すが、俺を見た瞬間、ぴたりと動きを止めた。


「……どうした、小野」
「夜神先輩……それ……自分が選んだやつっすか?」
「お前が選んどいてなんだその反応」


俺が呆れたように言うと、異様なまでに小野の目がキラキラと光った。嫌な予感が。


「ああああ、似合いすぎっすよ! やっぱ自分って凄いと思いませんか!? 狼男というより、ワンコ系男子って感じっす!」


小野が俺に渡したのは、狼男のコスプレ。
狼男って言っても、犬耳としっぽを付けるんだが……こいつにこう言われると羞恥心しか起こらない。
小野は俺の周りを飛び跳ねながら、犬耳を触ったり肩を叩いたりと忙しい。挙句の果てには、


「ちょっとマジで萌えるんですけど顔がニヤケて仕方ないよあぁもうどうしてくれるんすか!」


とか言い出したから、こっちはたまったもんじゃない。萌えるってどこが萌えるんだ。


「小野、夜神が迷惑がってんだからやめなさいよ」


流石に桜原が止めようとするが、興奮状態に陥った小野の耳には届かない。


「ギャップ萌えっす! 写メ撮っていいですか!? クラスメイトに送るので!」
「送るな」
「抱きしめたいっす!」
「近寄るな」


本当にこいつは手に負えない。
しかしこのままでは何をされるかわからない。桜原、あとは頼んだ。


「小野、桜原の格好を写真に撮った方がいいんじゃないのか? 俺よりもその……『ギャップ萌え』だとは思うが」
「は!? ちょ、夜神何言って……」


予想通り、桜原が顔を真っ赤にして怒りを表す。
小野がキラリ、と目を光らせて桜原の方を向いた隙に、素早く俺はリビングから廊下へと出る。
流石に小野もここまで来ないだろう。

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