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Hallowe’en party

第4章 怪我



*夜神side*


勉強をし始めてから1時間。集中力はまだ途切れていない。この調子なら、30分後には全ての課題が終わるか……。


ピリリリリッ。


携帯の着信音が鳴った時、集中力も同時に切れた。
今日はやけに電話がかかってくる。
小野ならさっさと切ろう。
そう思い、相手を確認すると桜原からだった。あいつから電話だなんてかなり珍しい。


「……なんだ?」
『夜神!? 今すぐR公園に来て!』
「は? なんで」


桜原が焦った声で叫ぶ。
訝しげに思ったが、桜原の次の言葉に、俺は硬直してしまった。


『江島が階段から落ちたの! それで……』
「何!?」


思わず叫んでしまう。
江島が、階段から落ちた? 元々運動神経がいいようには見えないが、階段から落ちただなんて。
部屋から飛び出し、キッチンで夕食を作っている母に「外に出てくる!」と言い、公園へと向かう。
既に辺りは薄暗く、場所によっては街灯が灯っている。俺は携帯電話から耳を離さずに走り続ける。


「江島は無事か!?」
『ちょ、落ち着けって』
「落ち着いていられるか!」


通りすがる人が走りながら怒鳴る俺を見て、不思議そうな顔をするが、そんなことを気にしていられない。


「どこにいる!?」
『東階段の下にいる……って話聞けよ』


肩で息をしながら指定の場所へ行くと、呆れた顔で携帯を耳に当てている桜原、心配そうな顔をしている小野、そして冷たい地面に座り込んでいる江島。


「江島!」
「おぉ、夜神先輩じゃないっすか。早いっすね」


笑顔になり手を振る小野。何をそんなに呑気にいられるんだ。


「江島、大丈夫か!」
「大丈夫ですよ~ってなんでそんなに焦ってるんですか?」
「階段から落ちたと聞いたら焦るだろ!?」


そこまで言った時、江島が普通に会話していることに気付いた。


「江島……怪我は?」
「え? あぁ、ちょっと足をひねっちゃって……階段から落ちた時に、小野ちゃんが腕をつかんでくれたからよかったんですけど……痛くて立てないんです」
「そ、そうか……」


張り詰めていたぶん、一気に脱力感に襲われる。

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