第1章 光が差し込む
貴方がそこにいるだけで世界が変わる
大事な人と共に生きるならば全てを捨てても構わないと私はそう思った
だから私は永遠に蒼世の側にいる
先程とは違って甘くとろけるようなキスをする
愛があると、こんなに甘いものなのかと実感した
離した瞬間に上から何かが降り落ちてきたのだった
「!?…そ、蒼世!なんか降ってきた!攫われるー!」
顔が見えない状態で手をバタばたさせていると向こうから彼のため息が聞こえてきた
私は非常にパニックに陥っているので、そんなに安心していられる蒼世を疑った
「ちょっと、蒼世!少し落ち着いてないで何とかしてよー。怖いからー!」
「本当にうるさい女だ…それを着ろ」
着ろと言われたので、これは服なのだと理解した私はそれを頭から外し見てみる
これは蒼世の服ではないだろうか
いや、でも何故かと考えてみれば忘れていた
私は今、かなり露出の高い格好をしているのだった
「で、でも…これ、この格好…蒼世に感想もらってない!ねぇ、どう?」
顔の方から近寄れば上目遣いで彼を見る
腕組みをしてチラリと私を見れば、また視線を逸らした
何か言いたそうだが何も言わない
少し俯いて諦めようとした時のこと
「くだらないことを聞くな。早く着ろ」
ぱさりと音を立てて服が私に着せられた
蒼世の匂いがする
涼しげないい香り
分かっていたけど、素直な言葉は聞けないと知っていたけれど少し悔しいから思いっきり抱きついた
「蒼世ー本当に素直じゃないねー」
その時、彼は口角を上げて歪んだ笑みを見せた
これは流石にまずいと思ったのか顔が青ざめる
こうなった蒼世に勝ったことがないのだ
「…二度とあのような格好を人前でするな。もう一つ…私を無意識に誘うな」
最後の方の言葉に私は顔を真っ赤にする
いや、そんなつもりは更々なかったので、気づけばそういうことをしていることを知った
恥ずかしさのあまり顔を両手で隠す
「ご、ごめんなさい…」
「許してやろう。だから少しお前が欲しい」
また、ぐっと引き寄せられればゆっくりと手を外される
そうして赤くなったまま涙目になっていた私は蒼世を見た
その瞬間だろうか。蒼世の顔が少し赤くなったような気がした
照れたように視線をずらす君に
私から
「好き」
甘い甘いキスをした