第1章 光が差し込む
「えーっと、あ、蒼世!そ、そんないきなり、そんなこと言われても!もう!もー!」
頭が回らなくなる程、蒼世の素直な台詞で埋め尽くされている
先程、聞き間違えでなければ可愛いと言われた
嬉しくてでも急に言われると恥ずかし過ぎて私が素直になれずにいた
「まるで雌の闘牛だ…」
「もー!!」
蒼世の肩をバシバシとひたすら叩いていて彼が何を言ってもお構いなし状態だった
嬉しい気持ちは抑えることが出来なくて行動にだけ出ている
そんな時、ぐっと身体が引き寄せられた
時間が止まる
けど、目の前の彼だけが動いているように感じる
「痛い…。それからお前こそ素直に嬉しいと言ったらどうだ?」
相変わらず意地悪をやめようとしない蒼世
手を掴まれて動かすこともできない
蒼世は頭が回るし冷静だしで絶対に勝ち目はないとは思うが勝てなくていいとか思ってしまう自分がここにいる
意地悪してほしいのか、恋は盲目というやつだ
「嫌だ…」
「そうか…それじゃ俺もやめるとしよう」
私も意地悪してみようと思ってあえて素直な言葉を出さずに様子を見ることにしたが蒼世の手が離れていきなんともいえない寂しさを覚えた
それに縋るように、すぐに抱きつく私
「蒼世ー!嫌だー!離れないで!こうしてたいの!」
気づいた時には言っていた。言わされてしまった
また負ける羽目になった。なので暫くの間は勝つのは諦めようと思う
いずれ、勝つ時が来ると信じている私は馬鹿なのか
でも蒼世に勝てる女も私だけ
「ほう。では望み通りにしてやろう」
また抱きしめられる体勢になれば恥ずかしくなる私
真っ赤なのは間違えない
けど前言撤回
やはり私ば勝ちに行く
「好きなの。蒼世にも好きって言ってほしいの」
見上げれば顔が間近にある
蒼世は吃驚した表情になった
流石に蒼世もここでは照れてくれると期待する
そうすれば、どうだろう
額を当ててきて彼の吐息を感じた
「俺は眞咲に惚れてる。だからこの先ずっと何があってもお前しか見ていない」
「は、はい…」
月が空に登る
蒼白の月は今日も涼やかだ
凛として揺るがないところは、まさに君
私を包み込むものが心地よい
「好きだ。眞咲…一生をかけてお前を幸せにする」
「そ、それって…」
「結婚しよう」
約束の契を
永遠の誓いを
「はい」
私の命が尽きるまで
貴方と