第1章 光が差し込む
「だ、だって!言ってほしいじゃん!付き合ってるんだから、さ。」
からかうようにして無理だから諦めろという天火の言葉を、どうしても受け入れることができなかった
蒼世は、天火のように明るく笑うことはない
親が元々いないので感情のない人形のように見える
けれど、それは感情の表し方が分からない不器用というもので、感情そのものをなくした訳ではない
蒼世は優しい私は知っている
でも、たまには言葉で伝えてほしい
我儘かもしれないけど
-ちゃんとした言葉が欲しいよ、蒼世
「ま、ま…あの素直じゃない蒼世を……お。いい事考えた。蒼世もこれを見りゃ何とか言うだろう!」
急に思い立ったように満面の笑みで笑って
少し待っているように言われ、そのまま部屋で待っていることにした
一人でいると先程の蒼世の言葉が浮かんできてしまい傷を抉る形になってしまう
-うるさい女
蒼世にとっては、そうかもしれない
昔からこんな性格だし、うるさい女って言われても仕方ないかもしれない
でも、あれが蒼世の本心ならば何故別れようって言わないのか不思議だ
いっそのことふってくれた方が気が楽なのに
闇に落ちる
天使が堕天使になる瞬間のように
深い深い闇に落ちる
その中で一羽の小鳥が囀るのだ
胸に響くそれは、堕ちた私の唯一の癒し
「待たせたなー!!!」
スパーンと爽快な音がまた再び
天火は入ってくるなり笑顔で、とある服を差し出してきた
そして親指を立ててウインクする
一体何だというのだろうかと疑問を浮かべながらも、その服を広げてみる
「な、なななな!???」
「とりあえず蒼世も、それ着てりゃすぐ何か言うだろうよ。特にお前だからな」
これは非常に危険なものだ
何かと言えば非常に露出の高い服なのだ
妃子さんが着ている並の露出の服を私に着こなせというのだろうか
あれ程、美人でセクシーな人に敵うわけがないというのに
「天火の……変態ーーー!!!!」
スパーンとまたまた爽快な音が響いた
それは、戸が開く音のように良い音がして私は、爽快感というものを味わった
と言いつも、結局蒼世をときめかせてみたいという思いに負けて試着してみることにした
かなり露出が高くて恥ずかしいと思いながらも天火の前にその姿で現れてみる
顔が次第に赤くなっていくのが分かった