第1章 光が差し込む
今、完全に馬鹿にされたと思うのは私だけだろうか
幸せの甘い一時から、一気に崩れ落ちる私
崖の上から落ちてきた岩石に直撃したくらいの衝撃だった
「とりあえず外に出ていろ。気が散る」
放心状態から、ようやく抜け出した私は、ふらふらと立ち上がり柱に頭をぶつけながらも蒼世の部屋を後にした
先程の言葉が胸の奥で木霊する
不安だった気持ちは、更に増して
ついに
「天火あぁあーーーー!!!!!」
そう、ついに曇家当主である天火に会いに走っていく訳である
天火は私の昔ながらの付き合いで、蒼世が幼馴染だったのでそこからの関係で仲良くしてもらっている
天火は太陽で笑っているのを見ているだけで凄く安心して気持ちが落ち着く
だが急に私が泣いて入って来たので彼も流石に驚いている様子だった
「おぉ……!?ど、どうしたんだよ。眞咲。今日はやけに派手な登場だな…」
私は入口の戸を勢いよく開けると、スパーンという爽快な音が響きわたった
そして中には苦笑いしながら座ってお茶を飲んでいる天火を発見
そうすれば何も言わずに、ずかずかと上がっていく私
「お、おい。眞咲ちゃーん?」
恐る恐る話しかけてくる天火の言葉も気にせずに彼の目の前までくれば素早く正座して座る
今まで少しきついような顔していたのが一気に崩れて次々に涙が溢れてきた
「天火あぁああ………わーーん!!!」
本当に驚かせてしまった
天火は、どうしたらいいか分からずに慌てた様子で私を慰めようとしてくれた
でも、やっぱり最終的にはこの落ち着いた大人な対応に甘えてしまう私がいる
いつでも話を聞いてくれる優しい兄のような存在
蒼世とは違う役割の太陽
人を照らし皆を笑わせる、そんな天火は私にいつも優しくしてくれた
「ま、何があったか知らねぇが落ち着くまで泣けよ。全て受け止めてやるから。な」
光が私を包み込む
明るい太陽が私に微笑んだ
全てを明るく照らした
君の笑顔は何にも変えられない宝物
「あのね…」
暫く泣いて落ち着いたところで先程のことと蒼世の思いが最近どうも分からなくて不安なことを話した
ついでに褒め言葉の一つくらい言って欲しいことも
そうしてポツポツ話し始めたら少しだけ気が楽になってきた
「ぶわっはははは!!!何、何ー、そーせー君に素直に好きって言ってほしいってか??あの蒼世に?」