第2章 秘密
「明日提出とか早いよな」
「うん」
そう言葉をかわしながら早く用意しろと促してくる浩介に、俺はその紙を折りたたんだ。
「進路とか決めてる?」
「…いや」
今まで部活一筋で、将来のことなんて考えていなかった。
昔はテニスで食べていけたらいいなどと考えていた若い時期があった。
しかしそれは所詮部活内でのおままごとに過ぎない。
「浩介は夢とかないのか?」
「夢かー…」
俺の言葉で考え込んだ浩介は、顎に手を当てて何か考える素振りを見せた後に顔を上げると、ニヤリと口角を吊り上げた。
「大金持ちになること」
「…はあ…」
小学生のような回答に思わず口からため息が零れる。