第2章 秘密
定位置に座った彼女の隣に腰を下ろしコンビニで貰ったフォークを差し出すと、彼女はそれを受け取ってすぐにショートケーキを口に運んだ。
「…鈴(りん)ちゃんは…」
「鈴でいい」
すかさずこちらを睨んできた彼女にごめんと呟いてから、俺はもう一度口を開く。
「鈴は、進路希望どうするの?」
「どうもしない。…どうでもいい」
彼女はちゃん付けをされることを嫌う。
「でも明日提出だけど…」
「しないよ面倒くさい」
“面倒くさい”
その言葉に告白したあの日のことを思い出す。
鈴こと、蓮見 鈴(はすみ りん)は俺の部屋の合鍵を持ってはいるが、彼女ではない。